板金加工の中でも、精密板金は形状が複雑な製品、高い精度が必要な製品を製作できる加工技術です。
今回ご紹介する工程は、個人的にも趣味としている人が多い「溶接加工」。
どのように行われるのかを、テクニカル三友の看板商品「道路表示板」を例に見てみましょう。
これぞまさに「ザ・職人技」
プロのすごさを感じてほしいな
火花がバチバチするやつだよね!
溶接マスクを取ったら、イケメンが出てきちゃう?
最後に溶接加工の職人の声もご紹介します。
抜き加工、曲げ加工を経て製品の形に近づいた金属板が、溶接加工によってどのように変化していくかを見ていきましょう。
溶接加工とは?
金属板どうしを熱や圧力でくっつける加工を「溶接加工」といいます。
溶接にはさまざまな種類がありますが、テクニカル三友では以下の溶接機を使って加工しています。
- TIG溶接機
- MIG溶接機
- 半自動溶接機
- スポット溶接機
- スタッド溶接機
それぞれの溶接機について、くわしくはこちらの記事を見てね↓
道路標示板の溶接では、TIG溶接機とMIG溶接機を使います。
溶接加工の様子
道路標示板の1部品は非常に大きなものです。
溶接する箇所も多く、表から見える場所なのか、後工程に塗装があるのかなどによって、TIG溶接とMIG溶接を使い分けています。
加工は以下のような順序で行われます。
- 溶接する順番を考える
- 金属板になるべくゆがみが出ないように加工するためです。
- 道路標示板はTIG溶接→MIG溶接という順で溶接します。
- 寸法を測る
- 精密板金は寸法公差が厳しいので、大きく違ってしまわないようにマメに測ります。
- (TIG)クランプという留め具でとめる
- 金属板がゆがまないように引っ張ります。
- (TIG)ハンマーでたたいて板どうしをくっつける
- (TIG)溶接の距離が長い場合は、仮づけをする
- 仮づけは、溶接する位置がずれないようにくっつけておくための溶接を行うことです。
- (TIG)本溶接をする
- (TIG)2~6を溶接するすべての箇所で繰り返し行ってTIG溶接完了
- (MIG)クランプでとめる
- TIG溶接で仮づけまで済んでいる場合は、寸法を測る・ハンマーでたたく作業がなくなります。
- (MIG)製品内部の人の目に触れない部分を溶接する
- (MIG)製品外部は「肉盛溶接」をする
- 製品の角などの部分は、溶接するだけでは表面に盛り上がりができてしまい、寸法内に収まりません。そこで、後工程の仕上げで盛り上がった部分を削って製品寸法に収めます。
- 削っても強度を保つために、通常の溶接よりも厚みを持たせて溶接します。
寸法をマメに測るのと、クランプをいちいちとめなおすのが、かなりの手間じゃない?
寸法を測るのは、精密板金だからきっと仕方がないよね
でもクランプは作業前に全部とめておきたいような気がする……
溶接する場所や材質によって、ゆがむ方向が違うんだ
だから溶接する場所を固定するほうが、かえって効率がいいんだよ
道路標示板の溶接加工の様子は、TIG溶接・MIG溶接それぞれについて1本ずつ動画があります。
ぜひご覧ください。
溶接加工の作業はここまでです。
最初の工程「抜き加工」の記事は、こちらからご覧ください↓
2番めの工程「曲げ加工」は、こちらの記事で見られます↓
次の工程「仕上げ加工」の記事は近日公開するので、お楽しみに♪
溶接加工の職人を直撃
テクニカル三友には、スーギャンさん、トオーマさん、オーティーさんの、3人の溶接加工職人がいます。
まずは道路標示板の溶接加工を担当した、オーティーさんから話を聞いてみましょう。
※あだ名はすべて筆者が勝手につけたものです。
オーティーさん、溶接加工をしていてうれしいことは何ですか?
ひずみなく修正がない、きれいなものをつくることをいつも目指しています。
ですから、自分が思い描いた形にできあがると、やはりうれしいですよ。
ここからは、溶接歴20年のお二人の登場です。
トオーマさん、溶接加工のやりがいを教えてください
僕たちの手元には、製品の図面しかありません。
それを見ながらどういう順番でつくろうか考えます。
溶接するとひずみや縮みが起きるので、完成形を常にイメージしながら溶接していかないといけないんです。
それがうまくいって思った通りの形に仕上がったときは、やりがいを感じます。
スーギャンさん、溶接加工でどんなことに気をつけていますか?
僕が担当しているのは、主に薄物のステンレスです。
溶接は溶かしてくっつける加工ですが、薄物は少しでも溶かしすぎると穴をあけてしまいます。
だから、くっつく最低限の電流で加工します。
仕上げをしない製品も多く、自分が作業した結果がそのままお客様に見られます。
だから見た目がきれいでないと恥ずかしいので、こだわっていますね。
ガスできちんと溶接部を守るときれいな金色になるので、暑くても風を当てずに作業することもあります。
「きれいな製品」へのこだわりが溶接加工のカギだった!
精密板金において抜き加工、曲げ加工の後工程にあたるのが溶接加工です。
溶接にはさまざまな種類がありますが、道路標示板製造ではTIG溶接機とMIG溶接機を使います。
少し自動化されたとはいえ、職人技が出来上がりを左右する加工といってよいでしょう。
テクニカル三友の看板商品、道路標示板の溶接加工は次の順序で行います。
- 溶接する順番を考える
- 寸法を測る
- (TIG)クランプという留め具でとめる
- (TIG)ハンマーでたたいて板どうしをくっつける
- (TIG)溶接の距離が長い場合は、仮づけをする
- (TIG)本溶接をする
- (TIG)2~6を溶接するすべての箇所で繰り返し行ってTIG溶接完了
- (MIG)クランプでとめる
- (MIG)製品内部の人の目に触れない部分を溶接する
- (MIG)製品外部は「肉盛溶接」をする
精密板金の現場では、毎日違う製品が作られています。
図面から完成形を想像して実際に作り出し、そのできあがりがすばらしく満足のいくものであることが、職人の日々のやりがいです。
年数を重ねて経験や知識が増え、技術力を身につけても、さらに高みを目指せる仕事なのです。
精密板金加工は、高い精度を必要とする複雑な部品づくりを行うだけに、技術者の技量は品質に大きく影響します。
部品作りのお困りごとは、熟練の技術者がそろったテクニカル三友までご用命ください。