「精密板金加工(せいみつばんきんかこう)」って、知ってる?
自動車のへこみをめちゃくちゃきれいに直してくれるとか?
それは自動車板金ね
精密板金は、みんながいつも使っている身のまわりの製品を作るための板金技術だよ
「板金加工」とひとくちに言っても、実はさまざまな加工方法があります。
この記事では、精密板金加工について次の3つを解説します。
- 精密板金加工の特長
- ほかの板金加工との違い
- 精密板金加工で作り出される製品
明日にでもだれかに話したくなる、精密板金加工の基礎知識を手に入れましょう!
精密板金加工(せいみつばんきんかこう)とは?ほかの板金加工との違い
精密板金加工は、板金加工の1種だよ
精密板金加工には次の3つの特長があります。
- 形状が複雑な製品、高い精度が必要な製品を製作できる
- 汎用(はんよう)金型を使って加工する
- 鉄やステンレスに加え、アルミニウム・銅・真鍮(しんちゅう)なども加工できる
ひとつずつ見ていきましょう。
形状が複雑な製品、高い精度が必要な製品を製作できる
一般的に板金加工とは、1枚の金属板に「抜き」「曲げ」「溶接」などの加工をして製品をつくることです。
※各工程についてくわしくは、近日公開する記事をご覧ください。
精密板金加工とその他の加工の大きな違いは、寸法交差の厳しさだ
寸法交差とは?
指定の寸法に対して、品質や性能に問題がない程度の誤差の範囲。
たとえば、指定寸法が100mmの場合、100mmぴったりに加工するのは難しいため「最大100.2mmまで、最小-100.1mmまで」などの範囲を定める。
自動車や建築材料など大きなもの、シンプルな形をしたものを製造するときには、寸法公差は±2mm程度と厳しくありません。
精密板金加工での寸法公差は0.1~0.2mm以下、製品によっては0.05mm以下と大変厳しく、高い技量が必要です。
めっちゃ細かい!
電子機器や医療機器に組み込まれるような複雑で繊細な部品を製造できるのは、精密板金ならではの技術力によるものだよ
汎用(はんよう)金型を使って加工する
専用金型を作って金属板を加工する場合は、製品を作り始める前に金型をつくる費用がかかります。
ですから、専用金型のコストを回収できるような大量生産に向いています。
対して精密板金加工で使うのは、基本的な形状を加工する金型(=汎用金型)。
各製品ごとに金型をつくる必要がないため、初期費用を抑えられるメリットがあります。
しかし、汎用金型を使うだけでは、いつも同じ形状のものしかつくれません。
基本の形から欲しい製品の形にしていくために、一つひとつに技術者の技術や知識が必要なんだ
大量生産をしようとすると、コストがかかってしまう場合があります。
複雑な形をつくれるけど、数をこなすのは苦手だってことね
多くても1000個くらいまでの製品づくりに向いていると言えるでしょう。
鉄やステンレスに加え、アルミニウム・銅・真鍮(しんちゅう)なども加工できる
板金加工で扱う材料の大半は、鉄やステンレスです。
精密板金加工では、アルミや銅、真鍮(しんちゅう)も扱うぞ
真鍮(しんちゅう)とは?
銅と亜鉛の合金。
アルミなどの材料は鉄・ステンレスに比べると柔らかく、変形しやすい金属です。
そのうえ熱が伝わりやすいために、レーザー加工や溶接がしにくくなります。
加工の難易度が高い素材も扱えるのが、精密板金の特長です。
その他の板金加工の種類
精密板金以外の板金加工には、次の3種類があります。
- 自動車板金
- 建築板金
- プレス板金
次の表は3種類の板金の特徴をまとめたものです。
板金の種類 | 自動車板金 | 建築板金 | プレス板金 |
特徴 | 車の傷やへこみを元通りにする 機械や型を使わない | 屋根・外壁・雨どいなど、建築物に使われる部品の製造と取付をする | 専用金型を使う さまざまな機械部品を大量に製造できる |
別名 | 打ち出し板金 たたき板金 | ー | プレス加工 |
寸法精度 | ー | 高くなくてもよい | 高い |
自動車板金のイメージしかないな
同じ「板金」という言葉を使っていても、工法や使用する道具、できあがる製品はさまざまなんだよ
技術の進歩や需要に合わせて製品ごとに適した加工方法が発達し、上記の3種類と精密板金とに細分化したのです。
精密板金加工で作り出される製品
形状が複雑な製品、高い精度が必要な製品を作れる精密板金加工。
具体的にどのようなものが作られているのでしょうか?
電子機器・通信機器 | 携帯電話、ゲーム機、パソコン、デジタルカメラ ……etc |
医療機器 | 心臓ペースメーカー、体温計、電子血圧計、レントゲン装置 ……etc |
コンピュータ機器 | 半導体メモリ、CPU(中央演算装置)、家電の組み込みシステム ……etc |
半導体製造装置 | 半導体の組み立て装置、検査装置 ……etc |
食品製造装置 | 農産物や畜産物・水産物などの原料を加工処理する機械 |
上記の機器類の筐体(きょうたい)や、基盤を支えるパーツなどに使われています。
筐体(きょうたい)とは?
機器の外側になる箱。中に電気機器や機械を入れる。
携帯とかゲーム機とか、なかったら困るなぁ
どれも身近で生活に欠かせない製品ばかりで、精密板金加工の技術が世の中で広く必要とされているのがわかります。
テクニカル三友の製品例
テクニカル三友では、こんな製品の部品を製造しているぞ
- 道路情報板
- 列車車両部品
- 工作機械カバー ……etc
上記はほんの一例です。
どうやってこの形をつくるの?
それはこちらの記事で見てね↓
精密板金加工とは人々の生活を支える高度な技術だった!
精密板金加工の特長は次の3つです。
- 形状が複雑な製品、高い精度が必要な製品を製作できる
- 汎用(はんよう)金型を使って加工する
- 鉄やステンレスに加え、アルミニウムや銅、真鍮(しんちゅう)なども加工できる
1枚の金属板が、技術者の手によって次のような製品に生まれ変わります。
- 道路情報板
- 列車車両部品
- 工作機械カバー ……etc
精密板金加工は、高い精度を必要とする複雑な部品づくりに向いた技術です。
そのため、小~中ロットでの生産に適しています。
専用金型を使わないため、自社開発製品の試作などにも使えます。
部品づくりのお困りごとは、テクニカル三友までぜひご用命ください。